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集中できないのはあなたのせいじゃない——私が5分タイマーに辿り着くまで

最終更新: 2026-07-23 14:37

↑ まずスライドでざっくり読んでみてください(全6枚・2分で読めます)


集中できない日というのは、本当に情けない。

「さあやろう」とPCの前に座って、まず何となくメールを確認して、Xを少し見て、Notionを開いて、でも何も書けなくて、気づいたら45分が経っている。

そういう日が、続いた時期があります。


「なんで自分だけ」という焦りが、さらに集中を奪っていく

当時、エンジニアとしての仕事をこなしながら、個人開発でアプリを作っていました。本業の合間に少しずつ進めるつもりが、夜になっても全然手が動いていない、という日が続いていた。

一番きつかったのは、その事実そのものより、「なんで自分だけこんなにダメなんだろう」という焦りでした。

Xには「今日も6時間コードを書きました」「リリースしました」「次のフェーズに進みます」といった投稿が流れてくる。自分はその間、タブを開いては閉じていた。Notionを起動して、何も書けずに閉じた。コーヒーを淹れに行って、また戻って、でも何もできない。

自分が怠け者なのか、意志が弱いのか、エンジニアとして向いていないのか。そういうことを漠然と考えながら、また夜になる。

正直、かなり消耗していました。「集中できない自分」を責め続けることが、さらに集中を奪っていくという悪循環の中にいました。


ポモドーロを試した。でも続かなかった

「集中力を高める方法」を調べると、必ずといっていいほど出てくるのがポモドーロ・テクニックです。

25分作業して、5分休憩する。これを繰り返す。シンプルな方法で、理屈はわかる。

やってみました。タイマーアプリをインストールして、25分セットして、さあ作業開始。

……10分後には別のことを考えていました。

タイマーが鳴って「1ポモドーロ達成!」と表示されても、全然達成感がない。「5分の休憩」のつもりが20分になる。また自己嫌悪。

他にもいろいろ試しました。GTD(Getting Things Done)の本を読んで、タスクを全部「Inbox」に吐き出して整理する方法。Notionでプロジェクトを細かく構造化する方法。集中力が上がるというBGMを流す方法。コワーキングスペースに場所を変えてみること。

どれも、最初の数日は効果があるように感じた。でも続かなかった。

問題は25分という長さでも、環境でも、ノイズでもなかった。「始めること」そのものでした。25分のコミットメントが、すでに重かった。「25分間ちゃんとやり続けられるだろうか」という不安が、始める前から頭にある。だから始まらない。

ポモドーロは「集中を維持する」ための方法論です。でも私の問題は「集中を始める」こと。そこが噛み合っていなかった。


タスクリストを書いても動けない理由

もう一つ長らく信じていたのが、タスク管理で解決できるというアイデアです。

Notionにタスクリストを作って、今日やることを整理して、優先順位をつける。確かに頭の中は整理される。リストを見ると「これだけやればいいんだな」という安心感がある。

でも、リストを眺めながら何もできない、という状態はそのまま続きました。

あとから気づいたことですが、タスクリストに書いた「資料を作る」という項目は、実はタスクではなくてゴールです。ゴールを見ているから、「そこまでたどり着けるか」という不安が先に来る。

「資料を作る」ではなく「タイトルだけ書く」。「コードをレビューする」ではなく「最初の関数だけ読む」。そのレベルまで分解して初めて、始められる。

でも当時の私は、そのことに気づいていませんでした。リストが詳しくなるほど「なんでこんなに山積みなんだろう」と重くなっていくだけでした。


「やる気が出てから始める」は、脳の仕組みとして逆効果

集中できない自分を責め続けた時期を経て、あるとき本で読んだことが頭に残りました。

ドイツの心理学者クレペリンが発見した「作業興奮」という概念です。

作業を始めると、脳の側坐核という部位が活性化して、ドーパミンが分泌される。つまり、やる気というのは「動いた後についてくる」ものであって、「動く前に生まれる」ものではない。

「やる気が出たら始めよう」と待っていること自体が、脳の仕組みとして逆なんです。

読んだとき、素直に救われた気がしました。

自分が怠け者なのではなく、脳が正直に動いているだけだった。「動きたくない」というのは、エネルギーを節約したい脳の自然な反応で、意志の弱さではない。「なんで自分だけ」と責め続けていたのは、脳の正常な働きを「欠陥」と誤解していたからでした。

じゃあ、やる気を待たずに「動き始める」にはどうすればいいか。


5分、という答えにたどり着くまで

「とにかく小さく始める」という考え方は、知識として持っていました。でも「小さく」がどのくらい小さければいいのか、自分ではよくわかっていなかった。

1分?10分?タスクを「最初のステップ」に分解するのはいいとして、その最初のステップ自体がまだ重い、ということが続いた。

試行錯誤の末に、私が落ち着いたのは「5分」という単位です。

「5分だけやって、終わっていい」と自分に約束する。タイマーを5分にセットして、それだけ。完走する義務はない。5分やって「もういい」と思ったら、それでいい。始める許可だけ、自分に出す。

これが意外と機能した。

脳が「作業モード」に入るまでの平均時間は、研究によれば約5分前後とされています。つまり5分後には、「あれ、もう少し続けたいな」という状態になっていることが多い。25分のポモドーロと何が違うかというと、心理的なハードルです。「5分だけ」は始められる。「25分間ちゃんとやる」は重い。そのわずかな差が、始まるか始まらないかを分けていた。

タイマーは「集中を区切る道具」ではなく、「始めるための道具」として使う。これが大事なポイントです。


でも、ツールが邪魔だった

5分タイマーという方法はわかった。次に問題になったのが、ツールです。

既存のタスク管理アプリを使ってみると、タスクリストが重い。今日やることが20件並んでいて、それを見ているだけで気が重くなる。「これを全部片付けないといけないのか」という気持ちが先に来る。

ポモドーロアプリは25分固定が多い。5分でやめようとすると「作業中断」と表示される。「まだ20分残ってます」と言われる。自分のペースで動けない。

タイマーアプリを開いて、タスクは別のNotionに書いて、終わったら手動でチェックして……ツールをまたいで管理するうちに、「そもそも始めるコスト」が上がっていく。

集中できない人ほど、ツールの摩擦に弱い。始める前の一手間が多ければ多いほど、始まらなくなる。

「これ、自分に合ったツールがそもそも存在しないんじゃないか」と思い始めたのが、開発のきっかけでした。


kodou flow を作ろうと思った理由

私が作りたかったのは、「始めることだけを助けるアプリ」です。

タスクをうまく管理するためのツールではなくて、「今日、これだけやろう」と決めて、5分タイマーを押して、動いた記録が残る。それだけのシンプルさ。

完璧にこなせなくてもいい。完了数や時間ではなく、「前進した自分」が見える設計にしたかった。

名前は「kodou flow(コドウフロー)」。鼓動のように小さくリズムを刻む、というイメージです。

まだ開発中ですが、あの「集中できなかった日々」の記憶と、試行錯誤の末に見つけたことが、設計の根っこにあります。大げさな機能はいらない。始まればいい。動けばいい。そこだけに絞りたかった。


まとめ

集中できないのは、あなたのせいではありません。

脳はそういう仕組みで動いている。やる気は動いた後についてくる。だから必要なのは根性ではなく、「始めるための仕組み」です。

今日から試せることがあるとすれば:

  • タスクを「ゴール」ではなく「最初の一歩」まで分解する
  • 「5分だけ」と決めてタイマーを押す
  • 5分で終わっても、ちゃんと自分を褒める

完璧な集中を目指さなくていい。5分動けた自分が、いい。

そう思えるようになってから、あの自己嫌悪のループから少し抜け出せた気がしています。


kodou flow は現在開発中です。リリース情報は @keyaki_dev でお知らせします。